2019年のセミナーは、財務分析と人件費の関係を中心に、資金調達も含めた内容で講師を務めさせていただきました。
2019年2月13日(水)は、東京商工会議所練馬支部と東京都社会保険労務士会練馬支部主催で、「モデル事業計画書から労働時間と人件費の推移を考える ~働き方改革と事業計画書作成のポイント~」、同年11月26日(火)は、公益社団法人練馬西法人会と(一社)練馬区産業振興公社主催で「時間外労働の上限規制で人件費の増加⁉ 中小企業が取るべき対応策とは?」のセミナーの講師を務めさせていただきました。
「働き方改革」で長時間労働の削減が求められ、労働問題・人材の流出が問題になっています。私自身が行政で労働相談員の業務をおこなっていることもあり、実際の労働相談の事例の中から特徴的なものを紹介させていただきました。労働基準法の法律や労働時間の考え方とリスクについて、2時間という貴重な時間をいただき講演をおこないました。
いずれのセミナーも、決算書から人件費との関係を解説し、今後中小企業が取るべき対応策を検討する内容です。東京都社会保険労務士会の自主研究会の発表でも財務内容や決算書も見方を発表をさせていただきましたが、立ち見になるほどの反響がありました。それほど、会社経営で人件費が与える影響は、誰もが大きいと考えているのです。
私のセミナーは、2つの会社の決算書の財務データとモデル事業計画書を作成し、どちらが財務内容のよい会社かという視点で財務分析から始まります。その結果、人件費が事業計画書にどのような影響を与えるのかについて解説していきます。マニアックな内容にもかかわらず多くの問い合わせをいただき、感謝しかありません。中には、事業計画書を実際に作成しようという方もおり、かなり突っ込んだ質問をいただけたのが何よりうれしく思いました。反省すべき点は反省して、今後の業務に活かしていきたいと考えております。不慣れなこともあって、アンケートの中には厳しい意見もございましたが、全体的には好評で和やかな雰囲気でセミナーを終えることができました。
普段は労働局の相談員として経営者や労働者の方からの相談を受けることが多く、実際に人件費の問題で労使トラブルに発展したケースもあります。実際に受ける労働相談では、メンタルの相談も多く、労働局の個別労働関係紛争の解決制度を利用して数百万円もの金額で和解したケースもあります。また、和解が成立せずに労働審判などに発展し、会社経営上大変な事態に陥ったケースもあります。セミナーでは、労働相談の傾向を具体的に説明しながら、潜在するリスクや「働き方改革」に取り組むことによるメリットについてもお話させていただきました。
毎年の法改正で、会社の負担はかなりのものになると考えます。現在は人材確保が困難な時代で、採用に苦労する会社も少なくありません。その他、決して好景気とはいえない状況で資金調達に苦労する会社もあり、経営の難しさを感じておられる中小企業の経営者はたくさんいらっしゃると思います。
どんなに技術が進んでも、「ヒト」が働く上で重要なのは「ヒト」としての生き方であり、そのためには「ヒト」への投資は欠かせません。そのためには、会社の財務内容を改善し、資金調達がしやすい会社にしていく必要があります。事業計画書は、「想定されるリスクを予見するための手段」と考えて、実際の経営に活かしてほしいと思っています。資金調達に苦労している会社の方、今よりも会社をよりよくするために財務な用の問題点を改善したいと考える方、少しでもたくさんの方のお役に立ちたいと考えております。